パワハラするのは上司だけではない!立場別のパワハラ事例を知り自分の大切な人を守りませんか

パワー・ハラスメント(パワハラ)は10年前は知らない人が大半でしたが、今はもう誰もが知っている言葉になりました。それだけ今の日本社会を悩ましている問題になっていると言えます。会社内にはパワハラを受けている人、与えている人、また見ている人がいます。身近に起きている出来事がパワハラなのかどうか判断ができない時は、今回の記事『パワハラするのは上司だけではない!立場別のパワハラ事例を知り自分の大切な人を守りませんか』を参考にしていただければと思います。

パワハラの定義

厚生労働省は職場のいじめや嫌がらせについて全国の労働局に相談する件数が増加していることを踏まえて、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を開催し、平成24年3月に「職場のパワー・ハラスメントの予防・解決に向けた提言」が取りまとめられました。この提言の中ででパワハラの定義や類型について以下のようにまとめられまし。

職場のパワー・ハラスメントの定義

『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』

この定義においては、次のことを明確にしています。
1)上司から部下に対するものに限らず、職務上の地位や人間関係などの「職場内の優位性」を背景にする行為が該当すること。

2)業務上の必要な注意や指導が行われている場合は該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること。

これではまだちょっと難しく分かりづらいため、6つのタイプに類型されています。

  1. 身体的攻撃(物を投げたり、叩いたりする 暴行・傷害など)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損など)
  3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外れ・無視など)
  4. 過大な要求(達成不可能なノルマの強制・大量作業を一晩で行う命令など)
  5. 過少な要求(全く仕事を与えない、.必要以上に程度の低い仕事を与えるなど)
  6. 個の侵害(プライベートなことに過度に立ち入ることなど)

『自分はパワハラなんてするわけがない』と思っている人は要注意です。

一昔前の日本人の考え方は、「我慢することが当たり前」「自分の時代は苦労してきたのだから、若者も苦労して当然だ」というものでしたが、今ではその考え方がパワハラを引き起こしかねないものです。

上司という立場だけがパワハラをしているとは限らないことを、厚生労働省も明言しています。自分がパワハラを受けていることだけでなく、他の人にパワハラをしていないか自分の言動をチェックしてみると良いと思います。

職場の立場別でみるパワハラの事例

パワハラ上司

上司と部下にも相性があり、関係が上手くいかないときもよくあります。そんなときはある程度の軋轢や対立は避けられない場合もあります。

しかし通常の範囲を超えて、上司から部下に対して以下のような発言があった場合は、部下にとって過大な心理的負担になり精神疾患を発病させる原因になります。

  • お前の存在自体が目障りだ。みんなが迷惑している。早く辞めろ
  • お前は会社を食い物にしている給料泥棒だ
  • 髪の毛にフケがついている。お前は汚い。病気だ
  • どこへ飛ばされても俺はお前が仕事ができない奴だと言いふらしてやる

こういった上司の発言や事例に、部下の人格やこれまでのキャリアを否定する内容だったり、部下への嫌悪感をベースとした感情的な内容が含まれているとパワハラと認定されます。

たとえ部下が仕事上のミスを指導したためという理由だとしても、「大声で怒鳴りつける」「大勢の人の前で見せしめる懲戒的な𠮟責」などは、言動内容によっては違法性が生じます。

パワハラ上司の言葉は全て正しいと思わないで、おかしいと思ったらすぐに会社の相談窓口か労働組合に相談してください。

パワハラ部下

パワハラは権力がある上司から弱い立場の部下に対して不当なこと言動が典型的です。でも現代は逆パターンの『逆パワハラ』が存在します。部下から上司への嫌がらせや無視などの行為もパワハラと認定されています。

逆パワハラの事例としては、

年齢が高い上司よりも若い部下の方が、パソコンに強くて初期設定やメールの設定を部下が行うことがあります。

このとき、上司が不得意な分野に得意の部下が、『こんなことも分からないのですか!』と怒鳴ったり、『本当に役に立たないですね』と高圧的な態度を取ることがあればパワハラになります。

いつもは指導や指示を受けている立場が逆になったときに、これまで上司に対して恨みがあると逆襲したくなる気持ちも分かります。上司がこれまで行ってきた言動と同じことをして、上司にどんな気分になるのか知ってもらうためと正当化したいかもしれません。

でもパワハラ上司とは正反対に優しく教えることができたら、それ以降の関係に変化が起きるかもしれません。たとえ上司との関係が変化なくても、どんな人にも分け隔てなく優しくできるあなたの姿は、多くの人の気持ちを癒します。

パワハラ先輩

会社の中では上司と部下の関係だけでなく、先輩と後輩の関係もあります。

新人社員に仕事を教えるときは、上司からの指示で経験豊富の社員が新人とペアを組んで細かな仕事を教えたりします。

新人を教える先輩がパワハラを行う社員だった場合、指示をだした上司はどうしたらよいでしょうか?

あるパワハラ社員の事例では、

営業成績がトップの30代前半の社員は、新人に対して『お前のオドオドした態度でどうやって営業ができるんだ!酒も飲めないしホントに使えないやつ!酒なんて鍛えれば飲めるようになるんだよ!』

このように、人格や能力を否定し、お酒を飲むことを強要するという、紛れもなくパワー・ハラスメントに当てはまる言動です。

この30代社員の下に就いた新人社員は何人も病気になったり、退職したりを繰り返していました。

この事例の結末は、パワハラ社員の上司である営業部長は内緒で新人社員にパワハラ社員の言動を録音させて、弁護士に相談したうえで会社の就業規則に則ってパワハラ社員を解雇する処分を行いました。

パワハラ社員は当然簡単には納得しないため、上司に対して自分をやめさせることは営業成績を悪化させることになると言ったり、新人に対しては更に脅す態度がありました。

上司は『今の言動も録音したので、今すぐに退職しなければ弁護士と相談して脅迫罪で訴える手続きをする』と毅然とした態度で言いました。パワハラ社員はそれ以上何も言えなくなり、そのまま会社に出社しないまま退職しました。

そして営業成績トップの社員が辞めたあとの営業成績はどうなったかといえば、社内の雰囲気が良くなり新人も他の社員の生き生きと営業を行えるようになったことで、営業成績が今まで以上にアップしたとのことです。

パワハラ行為に対して上司が毅然とした態度で対処されたことが、社内の雰囲気が良くなり営業成績アップにもつながったと言えます。

パワハラ教師・教授

上司と部下の関係は会社の中だけとは限りません。高校や大学や大学院では教師や教授が生徒の成績や評価を決めるので、その権力を使い特定な生徒にたいして不適切な言動を行う教師がいます。また権力を持つ教師は、生徒だけでなく同じ教職員に対しても嫌がらせや圧力をかけるなどの不適切な行為をします。

その行為は『アカデミック・ハラスメント(アカハラ)』と言われて、教育や研究機関で行われるパワハラの名前です。

アカハラの事例を挙げると、以下のものがあります。

  • 正当な理由なく教育や研究の指導を一切行わないこと
  • 正当な理由なく図書・文献や研究機器類を使用させないで研究を妨害すること
  • 研究費から支出するべき実験の費用を学生に不当に負担させること
  • 研究データのねつ造・改ざんを学生に強要すること
  • 学生が単位の不認定について説明を求めても全く教えない
  • 卒業・修了の判定を恣意的に変更して、故意に留年させる
  • 正当な理由なく学生の大学進学や就職先企業への推薦状を書かない

大学や研究機関では上司にあたる教師や教授の権力は、生徒や研究者の人生を左右させるほどの力を持っています。

パワハラは企業だけで起きている問題ではありません。学生の方でも自分が抱えている問題がパワハラではないかと思ったら、地域の労働組合に相談してみましょう。地域の労働組合は無料で相談にのってくれます。

お住いの労働組合を調べたいときはこちらから調べることができます。⇒こちら

パワハラを見過ごす会社の未来は暗い

会社でパワハラが起きていることは、「百害あって一利なし」です。

パワハラが会社に与える悪影響はとても深刻です。

  • 労働者の意欲が減退し、会社の生産性が低下する
  • パワハラ被害者が会社を相手に裁判を起こされて、使用者として責任を果たさなければならない
  • パワハラ被害者が精神疾患になり、労災認定を受ける
  • 社員直ぐに辞めてしまうので慢性的に人手不足

パワハラが行われている会社は、生産性が低下するうえに裁判を起こされて慰謝料を払うことになったり、労災認定されると会社は労災保険料が引きあがったりと会社が支払うお金が増えていきます。パワハラがあることで会社経営が成り立たなくなる可能性もあります。

パワハラを受けていない社員にとっても会社が経営悪化し倒産することになったら生活が大変になります。

いま多くの企業では社内でパワハラを予防し、パワハラが起きた時の早期解決するために罰則規定を就業規則に盛り込むなどのリスクマネジメントを重視しています。

会社と社員一人ひとりが一緒になってパワハラ問題を解決していく意識を持つことが大切ではないでしょうか。

まとめ

『パワハラするのは上司だけではない!立場別のパワハラ事例を知り自分の大切な人を守りませんか』はいかがでしたでしょうか?

パワハラが起きていることを早めに会社に報告することは、気持ちよく働ける環境になり生産性が高まるため、社員にとっても会社にとってもメリットが多いです。

会社にパワハラを報告するのは必ずしもパワハラを受けている当事者に限るわけではありません。職場で同僚がパワハラを受けて困っているなら、目撃している人が報告してもいいのです。

一人ひとりが安心して働ける会社にするためにパワハラをみんなで解決していきませんか。

私もハラスメントに悩んだ一人として、周りのパワハラ・モラハラ・セクハラなどの問題について解決していきたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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