モラハラ離婚を決める前に考えたい子どもの親権

モラハラ夫から別居または離婚を考えるとき、自分だけでなく子どものことも一緒に考えてどうしようか迷います。子どもを連れて別居するにも子どもを連れて出ていけるか、離婚するとしたら子どもの親権はどうなるのか心配です。子どもの親権はどのような権利があるのか調べてみました。一緒に子どものことについて考えていきましょう。

モラハラを見ている子供の影響

まずはモラハラの環境で育つ子供にとってどんな影響が出るのでしょうか。

モラハラに限られたことではないですが、家族内の問題は子どもに影響を与えます。影響を受けた子どもは何らかの問題言動をします。または何らかの問題をしまし。それは家の中だけでなく友達や学校での態度にも影響を及ぼします。

モラハラが頻繁に起きている家庭では、例えばモラハラする父親が毎日母親に人格否定などの侮辱する言葉を発していて、それを傍で聞いている子どもはその父親の言動を記憶します。また、モラハラ父親の行動に怯えている母親の姿も記憶します。モラハラを受けている母親が心にゆとりがない状態では、子どもに愛情があっても十分に子どもに気を配って必要なケアができないかもしれません。

子どもに、以下の行動があったら注意が必要です。

笑わなくなった。何もしゃべらなくなった。赤ちゃん返りするようになった。夜泣きをする。ご飯を食べる量が減った。体重が減っている。夜よく眠れていない様子。学校に行きたがらない。成績が下がっている。汚れた服を着ている。など

そのほかに以前と行動が変化していることに気づいたらその感覚を大切にして、医療機関やハラスメント相談所に相談しましょう。早く気づくことができれば適切な対処がしやすくなります。

子どもの心の育成

子ども時代は、「乳幼児期・幼児期」「児童期・学童期」「青少年期」に分けられて、それぞれの時期における発達課題をクリアして、社会生活を柔軟に溶け込むことができます。

1.乳幼児期・幼児期の発達課題「好奇心の形成・仲間との遊び・愛着関係」

「好奇心の制限」とは、子どもに道徳的な心を育てることです。子どもが成長すると「なぜ?」「どうして」という探求心が目覚めます。親は子どもの探求心を育みながらも道徳的な教育を与えていきます。「仲間との遊び」では、子どもは遊びを通して様々な生活能力を習得していきます。おままごとは様々な社会的役割を演じることを通して、意識が次第に社会へと向いていきます。「愛着関係の育成」とは、親との安定した愛着関係を築くことです。乳幼児・幼児期に子どもが母親から離れて、安心して遊べるようになったり、純粋で自由に質問ができるようにするためには、親と子どもが安定した愛着関係が形成されることが必要不可欠です。

2.児童期・学童期の発達課題「劣等感との戦い」

児童期・学童期は「劣等感の戦い」が重要な発達課題です。この時期は学校という少し大きな社会に入って、友人関係を築きながら懸命に課題に取り組む時期です。友達と自分を比較しながら、社会に適応する術を身に着けていきます。この時期における子どもと親の関わりはとても重要です。子どもが何か一生懸命に取り組んだ課題に対して、親が結果だけを重視して評価することは子どもの発達に悪影響を及ぼします。

私たち大人は、子どもの自己確立に大きな影響を与える時期に、劣等感を抱かせないように自分たちの言動に注意しなければなりません。

3.青少年期の発達課題「同一性の確立」

青少年期の発達課題は「自分を孤立した一人の人間として認識すること(同一性の確立)」です。青少年期は「これから自分はどんな人生を歩めばいいの?」「自分には何ができるのか?」といった深い疑問を抱えて試行錯誤しながら答えを見つけていかなければなりません。精神的に不安的な時期で周りの環境にも左右され、感情の起伏が激しくなります。この時期の子どもには、身近に不安や苦しみを受け止めて寄り添ってくれる大人が必要です。

親権の権利について知る

法律上、未成年の子どもは父母の親権に服することになり(民法八一八条一項)、親は子どもの親権者としての役割があります。婚姻関係の父母はどちらも親権を持っていますが、父母が離婚する際はどちらか一方に親権を委ねることになります。

親権は親の権利と思われがちですが、親権は子どもの福祉を守ることを内容としているので、いわば親の社会的責務となるものです。決して親権を持っている親が子どもの自由に支配できるものではないことを最初に心にとめておいてください。

親権の法律上の具体的内容としては、①身上監護権と②財産管理権があります。

1.身上監護権

身上監護権とは、独立の社会人として社会性を身につけさせるために、子どもの肉体的に監督、保護し、また精神的な発達を図るために教育する親権者の責務です。

  1. 身分上の行為の代理権 (子どもが身分法上の行為を行うにあたり親の同意・代理する権利)
  2. 居所指定権 (親が子どもの居所を指定する権利)
  3. 懲戒権 (子どもに対して親が懲戒、しつけをする権利)
  4. 職業許可権 (子どもが職業を営むにあたって親がその職業を許可する権利)

少し難しく法律で決めていますが、要するに身上監護権を持った親は他人に干渉を受けることなく子どもの生活の面倒を見る権限です。

2.財産管理権

財産管理権は、子どもが財産を持っているときに、その財産の管理をし、また子供の財産上の法律行為について、子どもを代理したり子どもが法律上の行為をするときに同意したりする権利です。

未成年が売買契約したりお金を借りるなどの法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければなりません。通常、未成年の法定代理人は親権者がなります。

3.監護者

何らかの事情で親権者に子どもを保護することが困難な場合は、もう一方の親に親権のうちの身上監護権を与えることもできます。身上監護権のみをもつ親を「監護者」と呼ばれます。

例えば、親権を持つ父親が出張ばかりの仕事のため子どもを安定的に保護することができない場合や、子どもが幼いため子どもを育てるためには母親が監護するほうが望ましい場合、親権者と監護者を別々に定めることもあります。

親権者の決め方

モラハラ離婚をするときは、協議離婚であっても離婚前に必ず親権者を決めなければなりません。離婚届けには親権者を記載する欄があり、そこに記載がないと受理されません。モラハラ離婚する場合は、なかなか相手が協議に応じてくれない場合もあります。子どもの養育権や面会交流については離婚後も話し合うことはできますが、離婚後だと交渉に応じない可能性もあります。ご注意ください。

協議離婚では決められないときは、家庭裁判所に調停を申し立てて親権者を決めることになります。家庭裁判所ではどんなことを考慮して判断基準を持って親権者を決定するのか調べてみました。

考慮される事情 1:父母の事情

裁判所は父母の事情として、父母の監護能力(年齢や健康状態、異常な性格出ないこと)精神的、経済的家庭環境(資産、収入、職業、住居、生活態度など)、居住環境、教育環境、子どもに対する愛情度合い、従来の監護環境、親族の援助等をもとに、どのような監護環境が子どもに最適かで親権者を判断する材料になります。

考慮される事情 2:子ども側の事情

裁判所は子どもの事情として、年齢、性別、新進の発育状況、兄弟姉妹の関係、従来の環境への適応状況、環境の変化への適応性、子ども自身の意向などの諸事情をもとにどのような監護環境が最適かで親権者を判断する材料になります。

親権の判断の仕方:子どもの利益ないし福祉のため

親権者の問題は子どもにとって今後成長していく関係でとても大切な問題です。成長だけでなく人生にかかわる問題です。モラハラ環境で育った子どもは既に大きな精神的ダメージを受けているはずです。その上に両親の離婚で生活にも不安を感じています。子どもにとって生活も精神的にも安定する環境であるために、子どもの利益ないし福祉のために慎重に判断をします。

裁判所の親権判断基準 1:母性優先の原則(特に乳幼児期)

子どもが幼児で、母親が監護・教育することが不適切だと認められない特段の事情がない限り、母親を親権者として子どもの福祉に適するという考えです。最近は、男性でも母性的な役割を果たしている家庭もありますので、母性的な役割を果たすことができるのであれば父親に親権を与える場合もあるそうです。

裁判所の親権判断基準 2:現状尊重の原則

子どもが現在の監護環境において安定しているのであれば、現在の監護環境を維持することが子どもの福祉において適するという考え方です。ただし単純に現状を追認するというわけではなく、現状を追認することになると、無理やり子どもを連れ去った場合でも、現状を尊重することになり、違法行為を容認することになってしまいます。

そのため、基本は子どもの出生時からの監護環境の尊重と考えたり、乳幼児期は監護者の継続性を重視して出生時からの生育歴全体を見て判断します。また就学後は、監護環境(住居や学校、友人関係など)の継続性を重視するべきであるとも考えています。

裁判所の親権判断基準 3:子どもの意志の尊重

法律上で子どもが満15歳以上であるときは、家庭裁判所は親権者変更の審判をする前に、子どもの陳述を聞かなければならないとされています。しかし実際は子どもが10歳以上になると、子どもの意志を尊重しているそうです。子どもの意思能力の成長度合いにもよりますが、実務的にはなるべく子どもの意志を尊重する傾向にあるようです。もし親のどちらかが子どもに「自分に親権を与えてほしい」と言いなさいと指示している場合もあるので、全て子どもの言葉だけで判断しません。

裁判所の判断基準 4:その他の判断基準

  1. 兄弟姉妹の不分離:特段の理由がない限り、兄弟姉妹は同一の親のもとで監護されるべきという考え。
  2. 面会交流の許容性:子どもが片方の親の面会交流に許容できる親に監護権を与える考え方。子どもが一方の親との定期的な面会に積極的か消極的かも判断材料となります。
  3. 奪取の違法性:現状尊重の原則と関連するもので、現在子どもを監護している親であっても、監護に至る経緯において他方の親から子どもを無理やり奪い取った等の違法行為が認められる場合は、このことが監護者としての適格性にマイナスの事情として考慮されます。

別居中にモラハラ夫の元から内緒で子どもを連れてくることは「3.奪取の違法性」に認められて、親権が与えられない可能性があるので、弁護士か専門家に相談しながら対応を考えたほうがよいそうです。

モラハラで離婚または別居を子どもに伝えるとき

モラハラで離婚するまたは別居することを決心して、そのことを子どもに伝えることは心痛いことですが、必ずしなければならないことです。何も言わずに家をでることは、子どもにとって親に捨てられた記憶になるからです。

子どもの年齢が高いほど、これまでの家庭環境の状況から理解ができることが多いでしょう。子ども自身がモラハラ夫に暴言を吐かれたり虐待を受けている場合もありますし、母親が被害に遭っているところを目撃するといったことも多いでしょう。母親が別居した時点で、離婚する可能性もあるとも子ども自身で理解はしているはずです。しかし理解はしていても納得しているとは限りません。

親の離婚は子どもにとっては重大なことなのに、自分に何も言わずにどちらか一方が出ていることは、大きな悲しみとなり大人になってもその影響は残る可能性があります。子どもの未来のために、家を出ていく前に子どもに伝えてください。一生懸命に説明すれば、最初はびっくりしてもきっと理解してくれます。十分に理解はできなくても、母親と一緒についていくはずです。

子どもがとても優しい性格の子でしたら、モラハラ夫であってもその子にとっては良い父親であるかもしれませんので、父親を一人残すことができないと思うかもしれません。また、子どもが大きくなって自分の今いる環境を出ることに抵抗があるかもしれません。そのときは子どもの気持ちを尊重してください。その子は母親の良い育て方のおかげで、順調に親離れをしたのだとその子とご自身を褒めてください。

まとめ

子どもの心と親権については、いかがでしたでしょうか。モラハラで離婚するかどうか迷っている方や、モラハラではないけれど離婚を考えている方にはぜひ知っていていただきたい、子どもの視点と子どもの権利です。離婚することは子どもにとっては、先ほども書いたように子どもの人生で大きなストレスになります。そのためにはしっかりと考えて離婚を決断しなければならないです。

でももし、モラハラ夫が子どもに身体的虐待、精神的虐待、性的虐待等をしていたら、即家を出て子どもを守ってください。決して見て見ぬふりをしないでください。こどもは自分で逃げられません。子どもは親のために我慢をしています。自分のために子どもを犠牲にすることだけはしないでください。

モラハラ問題は自分一人で解決することは難しいです。悩みをできるだけ専門家に相談してください。公的機関でもいいですし、公的機関はお忙しい場合もありますので民間の専門のカウンセラーに相談するでもいいです。

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